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2022年02月の記事は以下のとおりです。

ギター弦購入時の選び方

ギター弦はハナバッハ黒ラベルを使ってます。数年に一度くらい他の弦も使ってみますが、その一度だけでまたハナバッハに逆戻りです。一番安いのはたぶんサウンドハウスさんで税・送料込2千円以下です。

要点は以上です。以下は音に関する情報です。興味のある方はどうぞ。

 

個人的には1・2・3弦の選択基準を1弦の基音音量にしてます。キンキンと響くような倍音の甲高い音を避けるわけですが、3弦については逆に倍音の量が多い方が音の輪郭がはっきりするようです。そういう意味では、ナイロン弦でもカーボン弦でもどちらでも良いです。同様に4・5・6弦の低音弦は4弦の基音の音量で決めます。その他の弦は、少々キンキンと鳴っても音の芯が無いとまでは言えないように感じてます。

人によってはキンキンと鳴る甲高い響きが好きな人も居ると思いますが、音楽へのアプローチの違いでもあると思ってます。

ウィーンフィルの響きはキンキンしてませんし、ベーゼンドルファーも然り、シュタインウェイは高音の伸びと響きのバランスが良く取れている例だとも感じてます。ベルリン・フィルやN響の音のキレの良さは磨き抜かれた技術の賜物です。

 

===以下は、様々なサイトからの引用です===

 

※フロロカーボンの標準直径
一般社団法人日本釣用品工業会  > 規格・安全 > 釣用品の標準規格(JAFS)> 
ナイロン糸・フロロカーボン糸・ポリエステル糸の標準直径 PDF

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藤井眞吾さんのブログ > ギター弦の話

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空気を振動して伝わる音は、振動数に応じて振動の幅(音量)が減少していきます。

高音は発散して消えるのではなく減衰して消えます。低音が遠くまで届くのに比べて高音が届きにくいのは、低音の減衰が高音に比べて少ないから。高音が減衰した結果、残った低音が伝搬していく。

※以上:音の空気伝達についての豆知識

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蝸牛が音の高さを認識する方法は、蝸牛に配置された聴神経が反応することで音の高低を脳で認識しています。

高い音は短い距離しか進めず、低い音は蝸牛の奥まで進めます。人間の蝸牛の場合、入口近くに高音を感じる聴神経が、渦巻きの奥の方に低音を感じる聴神経が配置されています。

蝸牛に配置された聴神経毎に周波数=三角関数の成分を認識し、脳で合成され音として知覚します。

実際の蝸牛はもっともっと複雑な構造なんですけど、ザックリ説明するとこんな感じです。(例えば低音は入口近くの聴神経と奥深くの聴神経の両方を刺激するが、脳が選択的に判断して低音と知覚している、など)

※以上:YAHOO知恵袋「せかせかさん」

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・ナイロンの特性
 粘り強い、柔らかい
 伸びる、水分を吸収する

・フロロカーボンの特性
 強度はナイロンより強いが、伸びが少ないから、切れるときはプチンと切れる傾向
 硬くてゴワゴワする
 水分をあまり吸わない


繊維の複合方法には大きく2種類ある。細かく切断した繊維を樹脂と均一に混ぜ込む方法と、繊維に方向性を持たせたまま樹脂を含ませる方法で、ガラス繊維は前者、炭素繊維は後者の方法が採られることが多い。

一般的にカーボンだと樹脂系(釣竿、ゴルフクラブなど)、釣り糸に使うのはフロロカーボン

釣り糸においても、感度を優先するときはフロロ、柔らかさや扱い易さを優先するときはナイロンと使い分ける。

ギターにおいても、上記特性を活かし、例えば1-2弦はやさしい音がするオーガスチンのナイロン弦を使い、3弦だけ細くてシャープな音のサバレスアリアンスのフロロカーボンを組み合わせる奏者も居る。

※以上:5ちゃんねるクラシックギター総合スレPart118

【追記】フロロカーボンはナイロンよりも比重が大きいため弦が細く、硬性もあることから音の立ち上がりが良く、充実した倍音に支えられ音の輪郭がはっきりとしている傾向が強い。倍音が強いので1弦のように細い弦のときはキンキンと鳴るときがあるので注意。ナイロン弦は温度と湿度の影響を受けやすいのが難点だが、材質の柔らかさから音色に変化を持たせやすい。張り替えてから音高が安定するまで日数がかかるが、伸び切ってしえば調弦が安定し適度な張力が生まれ弾きやすくなる。フレットとの接触点が痛みやすく音色に影響が出たところで交換。

早期教育

  • 2022/02/24 17:18
  • カテゴリー:その他

モーツアルトのトルコ行進曲ピアノ連弾の動画です。ウィーン国立音大のFaceBookで紹介されてました。

https://fb.watch/bm_9egddXh/
 

日本や韓国、大陸中国、台湾で様々な分野の早期教育が進んでいるけど、西洋音楽は西洋には敵わないと感じます。どこが違うのかが問題です。

人の聴覚/住環境による音質影響

  • 2022/02/17 10:10
  • カテゴリー:その他
  • 音量の大小により、聴覚の周波数特性(周波数別の感度)は変化します。音量を小さくするほど、低周波の聴覚感度は他周波数と比べて相対的に下がります。従って、全く同じ周波数特性で、音量(振幅)が違うだけの音を聴いても、音質は全く違って聴こえます。

  • 一般論として、音の良し悪しに影響を与えるパラメーターは、音量の大小>周波数特性>残響(エコー、リバーブ)です。

  • 日本の住宅は、一部屋あたり一辺2m~4m程度ですが、その場合は~200hz程度までの定在波(部屋サイズと連動した共鳴)が大きく出てきます。100Hz以下の音は部屋のどこにスピーカーを置いても大して変わらず、部屋寸法とリスニングポイントで周波数特性が変わります。100~250Hzは、「スピーカー → 前壁」と「スピーカー → 後壁」の反射音が耳位置で重ね合わさるので、スピーカー位置とリスニングポイントにより周波数特性が大きく変わります。

  • ある周波数の音を聴こうとすると、周辺周波数の音を下げないと、その周波数が妨害されて聴こえます。ある周波数の音が聞こえると、低周波側よりも高周波側へより強く干渉します。耳のメカ構造/センサー的な観点から説明すると、低周波の音はより体内奥側にある組織で認識します。低周波の音が耳に入力されると、その低周波に対応した耳内センサー部位に音波が達する前に、通過点にある高周波センサーに相当する組織に干渉して、高周波音の認識に影響を与えます。

  • 人が聞くことが出来る音は、最も小さい音に対して、最も大きな音の音圧は100万倍=10の6乗になる。通常は対数表記して、MIN音圧を0db(SPL)、MAX音圧を120db(SPL)で表現する。3dB上げれば音圧は1.4倍、6dB上げれば音圧は2倍、10dB上げれば音圧は3倍、20dB上げれば音圧は10倍になる。個別の周波数特性を強調/減衰させる場合、精々10dB(3倍)が限界であり、20dB(10倍)も上げると、他周波数とのバランスが崩れて、歪みの大きな音になるのは直感的に分かって頂けると思う。

  • イコライザー設定をする場合、32Hz以下/16kHz以上を上げすぎないよう注意して下さい。これらの音をほかの周波数と同じ音量で聞こえるほどブーストすると、難聴リスクが極めて高くなります。

※参照元ページ:
イコライザーのおすすめ設定(コツ・理論)
https://tumugi-wa.blog.jp/archives/80722202.html

オーストリア民謡

  • 2022/02/15 11:56
  • カテゴリー:その他

昔はオーストリアのテレビ放送が国営放送一局だけでした。金権と内部腐敗で朝は仕事をせず、年収数千万円どころの騒ぎではないのは今も同じです。

でも、ニューイヤーコンサートを観ればわかりますが、お仕事をすると良い仕事をしたり、丸テーブルを囲んで本物の識者の方々の話を放送したりですから、そこが日本のテレビとの違いでしょうね。もちろん日本のテレビ放送も「おしん」の頃までは良い仕事も残してますね。

さて、オーストリアが欧州連合に加入してからTV放送に民放も参入できるようになり、競争が生まれたことから、最近20年くらいは国営放送も仕方なく午前中に仕事するようになってきたようです。

昔は朝といえば、オーストリアの民謡とと共に国内のスキー場に設置された定点カメラ映像を順番に流し続けてました。

放送局の手抜きとは言え、この音楽が妙に心地良くて見入った人も居たのではないかと思います。単純ですが、しっかりとした基本だけでも心が晴れやかになることもあるようです。

https://www.youtube.com/watch?v=JJ77kipRutk

簡単に聞こえる民謡ですが、真似をしようとしても難しいです。しっかりとした教育を受けた人が指の訓練をして、その上で、にこやかさを忘れず本気で取り組んでます。

因みに「演歌」は日本の心では無いです。戦後のゴタゴタの中で出てきた方々を調べればすぐにわかりますが、隣国の心です。

日本の心を歌にしたのは、山田耕筰氏です。繰り返し確認しますが、日本の心は演歌ではなく山田耕筰(1886 - 1965年)です。本当に素晴らしいです。

山田耕筰の作品は、没後50年の2015年からはパブリッシュドメインです。国によっては、金の亡者たちが著作権を没後70年と主張しています。これは文化の破壊ですね。誠に遺憾です。

オー・シャンゼリゼ

ニュー・シネマ・パラダイスの2重奏譜を購入したところ、その曲集にギターソロの「オー・シャンゼリゼ」が含まれてました。

WikiPediaによると:「オー・シャンゼリゼ」の原曲は、英語で書かれた楽曲『ウォータールー・ロード(Waterloo Road)』であり、イギリスのサイケデリックバンド・ジェイソン・クレストの4枚目のシングル曲として1968年に発表されたもの。この楽曲に、フランスの作詞家ピエール・ドラノエ(Pierre Delanoë)がフランス語の詞をつけたのが『オー・シャンゼリゼ』。原曲はロンドンの「ウォータールー通り」を舞台としていたが、フランス語訳の際にパリのシャンゼリゼ通りに差し換えられた。

https://www.youtube.com/watch?v=aKYUrxWRLHk

さらに、フランス在住アメリカ人の人気歌手ジョー・ダッサンがアレンジして、1969年に自らのアルバムに加えて発表。シングルカット版はベルギーのワロン地域のチャートで最高4位となったほか、多くのヨーロッパの国でチャート入りした。

日本では、1971年に発売されたダニエル・ビダルのレコードがヒットし、後に越路吹雪(岩谷時子訳詞)やザ・ピーナッツ、南沙織(安井かずみ訳詞)などがカバーした。

またレイモン・ルフェーブルがイージーリスニングにし、世界的にヒットした。日本では小中学校の音楽の時間に取り上げられたり、たびたびCMにも使われたりもした。

もともとはイギリスの曲であるが、シャンソン及びフレンチポップスであるかのイメージが根強くあり、特に日本でフランスの歌として大ヒットしたため、長年シャンソン若しくはフレンチポップスとして扱われてきた。

ギターの乾燥対策

  • 2022/02/12 01:36
  • カテゴリー:その他

クラシックギターの表面板の割れについて、ギター製作家の佐藤剛さんから教えていただきました。

クラシックギターの表面板は三味線やティンパニーと同じように四方が固定されてます。隙間があると音が前に跳ばないはずです。

ですから、乾燥により板が収縮すると、板の強度の限界点でどこかに隙間が生まれます。これが表面板の割れです。


独特の柔らかい響きで知られる高級ピアノのベーゼンドルファー社の整音士さんの話では、ピアノにとっては湿度50%以下が推奨だそうです。人の生活環境との譲歩を加味しても、湿度が60%ぐらいで音の抜けが無くなってしまうので、楽器の近くに植木鉢を置くのも、より良い響きのためには避けるべきとのことでした。

クラシックギターはピアノに比べて板の容積が小さく、弦の聴力を太い鋼鉄の枠で支えているわけでもないので、耐性が劣るのは容易に想像できます。

乾燥してないと鳴らないし、乾燥により楽器が壊れてしまうので、除湿と加湿が必要になってきます。

 

①湿度計は相対湿度
https://empex.co.jp/support/thfaq/thfaq.htm
②相対湿度と絶対湿度
https://weathernews.jp/s/topics/202002/280095/


木材の含水率は温度の影響は少なく、相対湿度により決まります。温度により空気中の水分量が異なるというのは絶対湿度の話ですが、木材の含水率は相対湿度で決まるということです。ですから、温度に関係なく湿度計の湿度を40~60%にしていれば問題ないはずです。

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木材の平衡含水率は気温と相対湿度に一致している状態で、木材の含水率は安定した状態です。木材の平衡含水率は空気中の絶対湿度ではなく、相対湿度により決まりますので注意が必要です。

木材の湿度特性


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気温10°で91%まで湿度を上げていても、電気ストーブなどの湿度を上げる機能の無い暖房器具で30°まで暖房したら、湿度が28%まで下がるので楽器に良くない。(高橋政一)

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膠の接着強度だけを見ると日常生活の温度や湿度では劣化は殆ど発生しないと言えます。
例えば湿度のみを取り出せば90パーセントを越えると溶け始めますが、現実的には接着層がその湿度を越える事はかなり劣悪な環境下に長期間置かなければ起きえません。

従って特別過酷な状態でも無いのに駒が飛ぶ様な場合は何らかの事情で接着不良があったか、長期間に渡っての木材の伸縮の影響で外れたと考えられます。

前者の場合は膠を煮込む時に温度が60℃を越え加水分解したり、雑菌が混入して劣化が生じた事によって起こり、後者は駒材と表板の収縮度の差から部分的な浮きが生じ、時間と共に広がる事によって起きます。

また、後者の木材の動きによる原因で起こる故障は駒だけで無く、力木剥がれもあります。
これは力木は長さ方向に伸縮しないのに対し表板や裏板は幅方向に伸縮が起こる為に発生すると考えられます。

何れにせよ、膠は楽器自体が湿気の影響で伸び縮みした際に一緒に多少伸縮する可能性を考えると、比較的楽器に無理な負担がかからない接着剤と言えます。湿度管理は50から60パーセントの範囲内にしておく事が望ましいと言えます。

(製作家 尾野 薫)


6.夏期は気温や湿度で膠(にかわ)の接着がよわくなるのですか
https://www.auranet.jp/salon/maintenance/mainteqa/

 

以下ページは「温度と相対湿度から(容積・重量)絶対湿度を計算するツール」です。

https://www.2x6satoru.com/article/ab-humidity.html

このページ内のグラフを見ると、摂氏15度と25度では空気中に含むことのできる水量が倍ぐらい違います。

ギターの塗装

サイト消滅対策の避難データです:  ◆ギターの塗装の種類と特徴  ◆ヤマハWebサイト

オイルフィニッシュ以外の塗装メンテは、カルナバポリッシュYMAHAのラッカーポリッシュなど。


 

 

1)天然プラスチックの「シェラック(Shellac)」

インドやタイなどの熱帯アジアに生息する昆虫、半翅目ラックカイガラムシ科のラックカイガラムシ(Lac insect)の分泌液を分離生成したもの。ラック虫は「蚕」「ミツバチ」と並ぶ三大益虫としても知られる。

キシリトールガム(XYLITOL)やマーブルチョコレート、 チョコボール、酸に強い特性を生かして胃で溶けずに腸で溶ける医薬品のコーティング、電子部品の接着剤としても使用される。

耐摩耗性に優れ、すれてもなかなか削れず、油やアルコール以外の有機溶剤にも溶けない特性を持つ。この点はゴムに反応してしまうラッカーよりも優れていると考えられる。

ヤマハのHPによると、セラック塗装をタンポ塗したときの塗装の厚さは20ミクロン~30ミクロン、スプレーでニスを塗った場合は150ミクロン~300ミクロンとされ、通常は200回以上も塗り重ねる。

高級ギターでしか使われない理由は、このタンポ塗に熟練の技術が必要で、かつ時間がかかるため。塗るのが速くても乾かすのに時間がかかるため、乾かしてから微細サンドペーパーをかけては何回も塗り重ねるタンポ塗は時間がかかる。

水分と温度/湿度に弱く、高温や高湿度で再溶解するので注意。

半そでの服でギターを弾き続けたり、ギターと触れる汗をかきやすい胸の部分と塗装面の密着により、体温と汗で白濁することがある。また夏季に車の中に放置したりすると、高温変化から粘度が上がり、ギターケースの内側の毛がギターにくっ付くときがある。酒をこぼすとそのアルコールで溶解する。

なお、セラック塗装は比較的容易に塗り直しが可能。

 

2)ラッカー (Lacquer)

ヘルマン・ハウザーがこの塗装。

「ラッカー」の語源はセラックの原料となるラックカイガラムシ。

Wikipedia「ラッカー」:一般的には無色または着色された塗料の一種であり、溶剤を揮発させることによって乾燥すると硬くて耐久性の高い塗面を与え、磨き上げることによって非常に強い光沢と深みが得られる。

この定義では、漆も、上述のアルコールに溶かすセラックもラッカーの一種となるため、日本では家庭用品品質表示法により「ニトロセルロース」を主成分とするものをラッカーと定義。

このニトロセルロースは「セルロース」、つまり植物の繊維(細胞壁)を化学的に処理して作られる。1920年代に開発され、当初は主に自動車の塗装に使われた。

セラックのようにタンポ塗ではなくスプレーを使って一気に塗装が可能ながら、一気に厚く塗ってしまうと硬化不良を起こしやすく、薄く塗っては乾かしを繰り返す必要がある。

このため、セラックほどではないものの塗装に時間がかかり、高級な楽器にしか使われない。完全に硬化するまでに時間がかかるためバリバリにウェザークラック(ひび割れ)が入るときがある。

ラッカーは一見完全にかたまったように見えて実は完全に硬化するまでに時間がかかる。ハウザー3世さんんの話では「セラックは永久に乾かない」。

硬化するときは内部に含まれるシンナーが抜けていくため、徐々に塗装が縮み、最終的に割れる。これが上記のウェザークラック。

ラッカーはセラックに比べると汗に強い。しかし、石油系の溶剤で溶かして塗布するため、ゴム(石油系物質)とアセトンに弱く、ゴムに触れると化学反応を起こし溶解する。

これで怖いのがギタースタンドの滑り止め部分や一部のギター支持具。一晩で溶けるらしく、ゴムに触れたままの放置には注意が必要。

また、シンナーやアセトンで溶けてしまうので、マニキュアの除光液が付いた手でラッカー塗装のギターを触ったり、除光液をギターにかけないように注意。

 

3)ポリウレタン

ポリウレタン塗装がセラックやラッカーと違うのは、溶剤なしで硬化するという点。

2液型のポリウレタンと1液型のポリウレタンがあり、どちらも化学反応によって硬化する。

セラックやラッカーは溶剤に溶かし、その溶剤が揮発することで固まる。このため、再度溶剤とおなじようなものに触れると溶解する。これに対してポリウレタンは化学反応によって硬化するので一度硬化すると元に戻らない。

逆に言うと、溶剤で溶かして塗りなおすようなことはできない。このため、一度傷がつくと修復は難しく、塗装を削り落として再塗装するしかない。

ポリウレタンというと丈夫なイメージがあるが、実は塗装面は弾力があり柔らかいという特性がある。

このため、木材の伸縮に対しても強く、長期間にわたって美しい塗装面を保持できる。

また、ラッカーのように徐々に硬化するのではなく化学反応で一気に硬化するため、ウェザークラックのような変化が起きない。

ポリウレタンとというと厚塗りというイメージがあるが、ポリウレタン塗装そのものは重ね塗りによって厚さをコントロールでき、極薄に仕上げることも可能。

ホセ・ラミレスは、極薄に仕上げ上位の楽器でもウレタン塗装を採用。

ラッカーと同じくいきなり厚く仕上げると硬化不良を起こすため、ポリウレタンも塗り重ねる必要がある。しかしながら、硬化までの時間が速いため、すぐに次を塗ることができる。これが安いギターに使われる理由。

安いギターでは、塗り重ねる回数を少なくするために、一度に塗る厚さを厚くしているものと思われる。

 

4)カシュー

河野製作所ギターがカシュー塗装。海外のギターではカシュー塗装を見たことがない。

カシューナッツの殻に油分が含まれており、この中の「カルダノール」と「カルドール」樹脂が塗装の原料。

カシュー塗装は、特性が日本伝統の塗装である漆塗装とほぼ同じで、見た目も漆に近く、ふっくらとながら透明感の高い感じの見た目に仕上がる。

漆で厄介なかぶれるという症状が起きず扱いやすく、カシューは漆に比べ乾燥も速い。

特徴としては、漆とほぼ同じ程度の耐久性。

漆は漆器として食器に使われるほど水分に強く、耐摩耗性も高い。カシューも同じ。さらに薬品にも強く、石油系の溶剤やゴムにも反応しない。

また、漆以上に熱や日光にも強いそうです。熱やアルコールをあびても白濁しません。

塗装としても硬度が高くかつ弾力性が高いという特性があり、楽器の塗装としてもすぐれている。

毎日支持具のために吸盤を貼り付けてはがしてを繰り返しても塗装に影響が少ない。

 

5)木の触感を活かしたオイル塗装(オイルフィニッシュ)

ケヴィン・アラムがオイルフィニッシュ塗装。

オイルフィニッシュの特徴はとにかく薄い点。

これまで紹介してきた塗装は木の表面に塗料の膜(被膜)を作るため、手で触っても木の触感を感じることはできず、塗料の膜を触ることになる。これに対してオイル塗装は木材に油をしみこませる塗装のため、膜を作らず触ると木の凹凸がダイレクトに感じられる。

木の表面に被膜を作ると振動を妨げるという意味ではオイルフィニッシュは最も振動を妨げない塗装であるとも考えられる。一方、その薄さがゆえに塗装としての保護力は最弱で、耐摩耗性もほとんどないため容易に塗装が剥げる。また、被膜を形成しないため打痕が付きやすい。

湿度を遮断する能力も無く、湿度管理によい一層の注意が必要。特にネックが保護されていないので反りやすいと考えられる。

パバロッティの「ネッスン・ドルマ」

残念なことに、昔の話になってしまいましたが、3大テノールで知られるルチアーノ・パヴァロッティ氏の「ネッスン・ドルマ」です。凄まじかったです。

https://www.youtube.com/watch?v=cWc7vYjgnTs

 

技術だけでは芸術の高みには達することは出来ないかも知れないけど、技術の壁を超えないと対峙することができないこともあると感じさせてくれます。演奏が終わったときに、人格の変貌も感じられます。才能と努力の両方を兼ね備えた指揮者にも恵まれ、幸いでした。

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