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2022年09月の記事は以下のとおりです。

音楽で音を楽しむ

ベンジャミン・ザンダー氏のマスタークラスです。

ギター弾きにとってはバッハの前奏曲(BWV998)シューベルトのアルペジオーネ・ソナタのマスタークラスがよく知られてますね。

今回紹介するのはウィーン古典派を代表する巨匠、ハイドンです。

さよなら交響曲、驚愕交響曲の逸話で知られるように、「ハイドンお父さん」と呼ばれ親しまれた人柄だったそうです。

ハイドンは、個性的なモーツアルトや、究極美をロマンチックに追求したベートーベンが出てくる前に個人様式を確立してます。57才のときにフランス革命でしたからバロック様式からの脱却、そして古典派の確率という生涯になりました。

https://www.youtube.com/watch?v=wfUiep-H3Oc

 

ハイドンは音楽史の流れの中では、100曲以上もの交響曲を手掛ける間にソナタ形式の形式美を不動のものとした功績があります。

宮廷音楽家としてカツラを被って演奏していたことでもわかるように、若い頃のハイドンはバロック色が強く、チェンバロを弾いてオーケストラを率いていたほどです。

後にはモーツアルトやベートーベン初期の頃にも弾いたアントン・ワルター(1752~1826)のハンマークラヴィアを弾くようになり、このハイドンのピアノはウィーン郊外のハイドン博物館に保存されており、演奏会や録音録画で使用されることもあります。

このハンマークラヴィアは、チェンバロと現代ピアノの中間に位置すると考えられる鍵盤楽器で、チェンバロのように爪弾いて発音するのではなく、ハンマーで弦を叩くという現代ピアノによく似たアクション構造の打弦楽器です。

小さく軽いハンマーを跳ね上げ弦を叩くアクション構造から生まれる音は、軽やかで歯切れの良いチェンバロやクラヴィコードに近い音色です。

共鳴箱が華奢で、チェンバロやリュートと同じように音の持続性が無く響きの減衰が早いです。これにより多声音楽でも混沌とせず各声部が薫り高く漂います。

 因みにイングリッシュメカニックの現代ピアノはロマン派の産物ですね。

ベートーベン晩年のピアノソナタ

半世紀以上になってしまった昔話ですが、中学生のときに安価な輸入盤LPレコードでブレンデルの「皇帝」を見つけ購入したのが初めてのピアノ演奏のレコードでした。

それからベートーベンのピアノ演奏と言えばブレンデルという程に彼の演奏に親しんできました。

その価値観が覆されたのがこの演奏でした。美しく粒が揃ってはっきりと鳴り響くブレンデルの響きと違う次元の音で、忘れられないコンサートになりました。1987年の秋、会場は Wiener Konzerthaus 大ホールでした。

因みに楽友協会にしてもコンツェルトハウスにしても歌劇場にしてもウィーンのコンサート会場は上部席よりも平土間の方が音が好きです。

https://www.youtube.com/watch?v=0vSPicBhjfA&t=83s

最晩年のベートーベンの作品は全く耳が聞こえず、本来は密集和音ではなく開離和音で記すべきが、耳で響きの確認ができなかったがためにハイドンとかモーツアルトのような密集和音で記されてます。

ベートーベン後期の作品を再現芸術として演奏するときには、記された楽譜が密集和音でも、ショパンやリストのように各声部が分離して綺羅びやかに響くように演奏すると美しいのですが、これがベートーベンの後期ピアノソナタ演奏の難しさだろうと思ってます。

ノーペダルのモーツアルト弾きとして知られていたピアニストのルドルフ・ゼルキン氏は、ベートーベン最晩年のピアノソナタ再現にあたってこの問題に真正面から挑んでます。音が舞い上がり、キラキラと輝いて美しいです。この演奏を凌ぐベートーベンのピアノソナタに触れたことがありません。航空力学的には不可能とされる「熊ん蜂の飛翔」を想起させてくれます。

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